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【インタビュー】安田倉庫株式会社 人事部長 小西様
2025年11月10日
Section.05
母集団形成について
——ありがとうございます。次にコロナ以降、御社はどのようにエントリーしてくださる方の母集団形成をされていらっしゃいますでしょうか
様々なチャネルから情報発信させていただいております。自社のホームページしかり、求人媒体、人材紹介会社様、あとは対外的なイベント関連になります。ただイベントに関しては弊社の想いと繋がるような内容であれば積極的に参加させていただいています。やはりコンセプトのずれたイベントですと共感をいただく機会も少ないこともありますので。あとは何より、先ほど申し上げた「オープンカンパニー」を中心に展開をしております。そこにご参加いただき、それでもチャレンジしたいと思ってくださるようであれば、お互いにとって良いご縁にもなると考えています。
マルチチャンネル化による母集団形成の推進
Section.06
現在感じている課題と改善案
——色々なチャネルを活用してチャレンジされてらっしゃるかと思いますがその中でも課題点もあるかと思います。現在感じられる課題点は具体的にございますか?
新卒採用に重きを置いて、中途採用は新卒で足りなかった分の補充という位置づけで長年、採用活動をしてきた中で、だいぶ昨今は事情も変わってきているので、先ほども申し上げた通り、新卒と中途の年間採用人数がほぼ同じになってきている現状から中途に力を入れてきた中での課題はありましたが、どちらかと言いますと、母集団形成よりも中途/キャリアの方を受け入れた後の「フォロー・サポート」の方に課題があるように感じています。
必ずしもご入社された皆さんが今までのご経験の中で培われた能力や知識を100%活かせるような環境でないケースもゼロではなく、例えば、前職までメディカル関係の仕事をされている方を採用しても、弊社が担っているメディカル事業は拡大途上のフェーズなので、どうしても足りない部分もあり、属人的になってしまうケースがある状況の中で、どういう形で採用した人材と現場とをマッチングさせていくのが最適なのか、採用基準、人員配置、ポジション定義など、課題も多くあり、今後見直しも必要だと考えています。
——その課題についてですが、小西さんの中で、こんなことをこんなふうにやったらもっと良くなるんじゃないか、みたいな小西さんならではの考えはありますでしょうか。

元々、人事になって一番やりたかったことが採用も、もちろんそうなんですけど、入ってからの教育はすごく拘りたいと考えていました。実際に新卒もキャリアの方にも研修プログラムはかなり増えたと実感しております。ただ数を増やせば良いというものでもなく、そこからなるべく全社員が1年に何回かは研修を受けられるような仕組みをより意識しました。例えば今はもうオンデマンドで提供できますし、いつでも受けられる形、例えば電車の中でも勉強できますみたいなことも出来るようにしています。
次に考えているのはやはり中途/キャリアの方向けの教育ですね。中途/キャリアの方は当然ですが在籍期間が短いので、当社のサービス内容や歴史等に触れる機会を増やしたいと考えています。例えばメディカル関連で入社した社員でも一般貨物を取り扱っている営業所を見ていただきたいという思いもありまして、できればそういう交流会みたいなことだとかもやりたいとは考えています。
他には中途キャリア採用した人たちが集まって意見交換をする場だったり、研修などを今も試験的にやっております。こういったことを少しずつ、幅広く行っていけば、弊社への愛着もさらに湧いてくれると思いますし、それが社内外への口コミとして広がり、「この会社良さそうだね」となるかもしれないというふうに思っています。
新卒/中途採用人数の変化と「フォロー・サポート」
Section.07
キャリア形成と評価制度
——ありがとうございます。次に新卒・中途の方々の短期だけでなく、中長期的なキャリア形成について伺いたいと思います。私自身、エージェントとして求職者の方々とお話しする中で、未来のキャリア形成を気にされる方が非常に多いと感じております。御社においてはどのようなキャリア形成の仕組みや取り組みがございますでしょうか。
新卒の所からお答えしますと、先ほど申し上げたみたいに最初の5年ぐらいは基本的に現場を知っていただくべく、物流の基本、弊社ビジネスのあり方などを学んでいただく形になっています。その後はその方々の特徴・特性・希望などを考慮しつつ、営業部や管理部門などの仕事をする方々がいたりします。その後、やはり現場へ戻りたいとなるようであれば再度営業所に戻るケースもあったりと、幅広い可能性を提供するようにしています。1年に1回は意向調査を行っていまして、その人がどういうキャリアプランでどういった所で今後活躍したいのかなども双方で確認した中で、全てを叶えることは難しい前提はありつつも、なるべく寄り添って一緒に考えていけるようにしています。
評価制度においては、やはり年齢を重ねるごとに一定値は昇給するような制度になっていて年功序列に近い部分はあると思います。それ以外にもプラスアルファで評価をしていまして、例えば、国内の営業所で勤めている方が年初に所属長と相談して目標設定する際に、「私、実は通関士の勉強もしてます。それに付随して語学の勉強もしています」と評価シートに書いてもらったら、それを評価対象とするようにしています。今担っている仕事以外の点もプラスアルファで評価してあげることでその人の成長に繋げていこうという制度です。
管理職クラスですと成果主義とまでは言いませんが、若く頑張っている方が所属長に昇進するケースも増えてきましたし、良い人がいれば常に上に上げていこうという制度になりましたので、よりメリハリが効いているのが管理職の方々の評価のあり方というように感じています。
——ありがとうございます。20代、30代だからこうなるという固定概念よりも、その方の成果だったり、頑張りのプロセスを正当に評価されているということですね。だからといって実力至上主義だけというわけではなく、長いキャリア形成を見据えた制度も設計されておりバランスを考慮した内容になっていますね。
大体、一般的に35歳ぐらいまでには管理職になれるような制度設計になっているので10~12年ぐらい勤めていただくと、管理職になれるような計算になっています。ただ先ほど申し上げた通り、30代で所属長がいるケースもありますし、そうではないという評価の方も現実居ることは事実ですので、メリハリとバランスを考慮した評価をさせていただく制度にはしています。
——成果のところでいうと昇給・昇格について基準軸など設けた評価基準はありますでしょうか?
年初に定める目標は非常に重要でして「評価シート」と呼んでいるのですが、行動評価と業績評価という2項目があります。行動評価というのはその方の日頃の取り組み姿勢を評価するもので、業績評価は数字の部分の評価になります。一般職の方はそれらに加えて成長目線の評価というのがあって成果ばかりではなく、プラスアルファで取り組みをさらに評価されますよという仕組みです。
年初に自分の直属の上司あるいは所属長とも面談を重ねて、今期どういったことをしようかという事をキチンと定めます。お互い納得の上で設定し、それに伴ってどういう結果だったか、というのを1年終わった中で判断をして、その評価を見て昇給についてを決めていく流れになっています。
幅広い可能性を提供するキャリア形成とプラスアルファ評価
Section.08
ゼネラリストとスペシャリスト
——全社員への公平な評価制度を設計されていますね。次の質問ですが近年、課長職、部長職などのマネジメントとしての昇進だけでなく、専門職として磨き続けるスペシャリスト育成の考えもありますが、御社の評価制度ではどうなっていらっしゃいますでしょうか?ゼネラリスト志向だけでなく、スペシャリスト育成方針なども考えてらっしゃいますでしょうか?
そこが結構難しくて。実は経営陣からも宿題をもらっているのですが、ゼネラリストのように幅広い経験を積んで欲しい、色々な部門で活躍して欲しいというのがこれまでの弊社なんですね。そんな中で今、力を入れている「メディカル」や「IT」などを代表例に、より専門性が高くないと出来ない仕事が増えてきました。より専門性の高いキャリア・中途の方にジョインいただいた際に、スペシャリスト専門コースのような制度、キャリアパスを作らないといけないのではと考え、今検討を進めているところです。
スペシャリスト専門コースの検討

