2026.08.17
インターナショナルエクスプレス 若林様
キャリア形成と評価制度
——ありがとうございます。続いての質問になりますが、実際にご入社されている方々、また今後ご入社される方々についてお伺いしたいと思います。
従業員の皆さまのキャリアパスやキャリアプランを、どのように設計・形成されているのかについて、ぜひお聞かせいただけますでしょうか。
会社として、新卒社員が20代前半で入社し、20代後半、30代へと成長していく中で、どのような姿になってほしいかという一定のイメージはもちろん持っています。
ただ一方で、個々人にはそれぞれの個性や強み、向き・不向きがありますので、一律のキャリアプランをあらかじめ定めているわけではありません。
実際、学生の方からも面接の場で「キャリアプラン」についてご質問をいただくことは多いのですが、会社が理想とする形で順調にステップアップしていく方もいれば、必ずしもそうではないケースもあります。
そうした点も含め、画一的なキャリアモデルではなく、個人の適性や状況に応じた成長の形があると考えています。
新卒社員の配属については、基本的には現場配属が中心となります。
営業職への配属もありますし、総務や経理といったバックオフィス部門に配属されるケースもゼロではありませんが、まずは現場で業務の基礎を身につけていただくケースが多いのが実情です。
配属するポイントとして本人の希望は必ずヒアリングしています。「どのような仕事に携わりたいか」という点は、入社前後を問わず確認するようにしています。
営業に配属されるケースの場合でも、営業職は業務上、幅広い知識や経験が求められるため、入社直後からお客様を担当することはあまりありません。まずは基礎的な業務や現場を経験しながら、段階的に役割を広げていく形を取っています。
——配属後、気にされていることはありますか?
実際に今年も新卒社員の配属がありましたが、基本的には入社後すぐに一人で業務を任せることはしていません。まずは約1年間を目安に、先輩社員がフォローしながら業務を学んでもらいます。
早い方であれば半年ほど経過した頃から、徐々に一人で対応してもらうケースもありますが、その場合でも必ず専門知識を持つ先輩社員がサポートに入る体制を取っています。
また、営業職として本格的に顧客を担当する場合には、現場を実際に経験しているかどうかが非常に重要だと考えています。現場を理解したうえで営業に携わることで、提案の説得力や提供できる価値の「質・量」ともに大きく変わってくるからです。
そのため会社としては、可能な限りまずは現場配属を行い、業務理解を深めたうえで次のステップへ進んでもらうことを理想としています。
——ありがとうございます。
それでは、昇給に関する点についてお伺いできればと思います。
御社では、昇給の基準となる評価軸をどのように設定されているのか、教えていただいてもよろしいでしょうか。
評価制度についてですが、まず評価の基準として重視しているのは、「日々の業務に真面目に向き合い、周囲と適切にコミュニケーションを取りながら、きちんと仕事を遂行できているか」という点です。
この基本姿勢を評価の土台としています。
そのうえで、業務改善に向けた提案や新しい発想、業務効率の向上など、細かな評価項目も設けていますが、まずは「与えられた役割を誠実に果たし、会社に貢献しているか」を重視し、一定の基準を満たしていれば評価対象としています。
管理職層、具体的には課長職以上になりますと、こうした行動・姿勢の評価に加え、業績評価も行う二軸の評価となります。一方で、若手社員については、数値評価よりも日々の態度や行動を重視した「行動評価」を中心に評価しています。
また、評価の一環として、本人の希望も記載してもらう仕組みがあります。
例えば、「将来的に営業に挑戦したい」「海外業務に携わりたい」といった意向があれば、それらは記録として残し、今後の配置や育成を検討する際の参考としています。いきなり海外勤務というのは難しい場合もありますが、本人の志向を踏まえた目線でキャリアを考えていくことは行っています。
当社の採用・育成は基本的に個別対応です。国際物流という業界特性もあり、入社当初は海外志向を持つ方も多いのですが、数年経つと考え方が変わるケースもあります。
「海外に行きたい」と考え続ける方もいれば、国内で腰を据えて働きたいと感じるようになる方もいます。
そのため、過去の希望に縛るのではなく、その時々の本人の意向を尊重し、無理に方向性を固定することはしていません。社員一人ひとりの変化を前提に、柔軟にキャリアを考えていく姿勢を大切にしています。
個人の適性や希望を尊重しながら、現場経験を重視した育成を実施。行動や姿勢を重視した評価制度のもと、着実な成長を支える環境が整っています。
ゼネラリストとスペシャリスト
——続いて、役職に関するキャリアプランについてお伺いしたいと思います。
課長職や部長職といった、いわゆるマネジメントとしての昇進だけでなく、専門性を高めていきたいと考える方も近年増えてきている印象があります。
そうした中で、スペシャリストとしてキャリアを築いていく人材の育成も、一つの重要な考え方ではないかと感じております。
御社の評価制度においては、マネジメント職だけでなく、専門職として特化したキャリアを志向する方に対する評価やフォローの仕組み、またはそのような考え方・方針はございますでしょうか。
専門職のキャリアパスは設けています。
具体的には、「専門部長」「専門課長」といった専門職の役職があり、実際に該当する社員も在籍しています。ただし、人数としては多くはなく、現在は2~3名程度です。
こうした専門職に就いているのは、例えば通関業務に関する高度な知識を有しているなど、特定分野において高い専門性を発揮している人材が中心となっています。
一方で、マネジメント職は部下の管理や組織運営、数値管理などの役割を担いますが、専門職の場合はそうしたマネジメント業務からは一定程度切り離され、専門性そのものを評価する仕組みとなっています。
評価においても、マネジメント職とは異なる専門職専用の評価軸を設けており、その基準に基づいて評価を行っています。
——それは、ご本人が「この分野の専門性を高めていきたい」といった希望を伝え、その意向を踏まえて、会社としてキャリアの道筋を提示されている、という形なのでしょうか。
必ずしも最初から「専門職としてキャリアを歩みたい」と明確に考えている方ばかりではありません。
実際には、業務に取り組む中で忙しさもあり、ご自身の適性や志向について十分に考える余裕がないケースも少なくありません。
当社にはいわゆる職人気質の社員も多く、マネジメント業務が負担やストレスになってしまう方もいます。そうした場合、ご本人から「専門分野に専念したい」と手を挙げるケースもありますし、会社側から「専門性を活かせるポジションにシフトした方が良いのでは」と提案することもあります。
以前は専門職という選択肢がなかったため、マネジメントを外れるとキャリアが停滞してしまう面がありました。しかし現在は「専門職」という役職を設け、肩書きだけでなく、処遇や手当もしっかりと整備しています。給与水準が大きく下がることもなく、専門職としての評価軸に基づき処遇されます。
これにより、自身の得意分野に集中しながらキャリアを継続できる環境を整えています。
なお、専門職であっても後輩の育成やサポートといった役割は引き続き担ってもらう形になります。
——「専門課長」や「専門部長」といった“専門職”という考え方は、これまであまり耳にする機会がなかったのですが、こちらは近年新たに取り入れられた制度なのでしょうか。
それとも、以前から導入されていた仕組みでしょうか?
実際に制度として導入したのは、今から5年ほど前になります。
人事制度を見直すタイミングで外部コンサルタントにも入っていただき、その際の提案の一つとして導入しました。
物流業界においては、通関や業務オペレーションなど、専門知識や経験を深く持つ“職人的な人材”が不可欠です。そうした方々が評価されないままモチベーションを失ってしまうことは、会社としても避けたいと考えていました。
そのため、専門性を発揮し続けられるキャリアの選択肢として「専門課長」「専門部長」といった専門職制度を設け、専門性に見合った評価や処遇が行える仕組みとして整備しています。
——5年前に評価制度を入れ替え、導入されたとのことですが、5年前と言えば、コロナ前後、ちょうど境目みたいな時期だったと思います。
「変えよう、見直そう」というのは、たまたまテコ入れをするタイミングが、コロナ禍だったのか、何かしらの背景があって、制度を見直さなければいけない、変えなきゃいけないという具合だったのか、その背景を教えていただいてもいいですか?
私が起案者でした。ある意味年功序列の会社、それこそ古い体質の仕組みなので、永遠に給料の逆転は起きないという状況で。例えば、若いメンバーの評価が高くても、会社として原資の問題があるから上げづらいなど。この制度ですと、上と下が開く一方みたいな中身だったので、評価制度をしっかり入れて、例えばパフォーマンス含めた評価の高い若手にキチンとボーナスを出すとか、そういう状況に持ってきたかったのがキッカケですね。数字上で一番インパクトが大きいのは、固定の月額よりも賞与部分で大きく変化をつけたという感じになります。
——そうしますと、従業員の方に対する評価の尺度、モノサシも割と見直されたという感じでしょうか?
そうです。結構前から評価だけはしていました。が、待遇にそこまで直結しない評価尺度になっていました。内容は若干質問項目増えたりとかで評価目線が変わったってことがありますけど、そこまで混乱せずに運用できた印象はあります。評価を受ける側が自己評価して、上長がそこに対して評価をして。行っている根本は変わらないです。
——5年前に評価制度を見直し、そこから 1年運用に入っていく。徐々に会社全体で新制度に慣れていくように運用していかねばならない中で、制度を入れ替えてからの今と昔で、組織の作り方や人員配置の仕方など変化はありましたでしょうか?
従来はエスカレーターで年功のように進めてきたのが、今は人の配置や役職の与え方が変わってきたように感じます。例えば、2012年当時は本当に女性管理職が、ほぼ居なかったです。仮に役職が就いたとしても、40代以降からというイメージでした。そこから現在にかけて、評価制度が変わったあたりから、いわゆる抜擢っていう言葉までが正しいかわかりませんけれども、今までなかったような人事が生まれてきた印象があります。制度を変えたことで、より推しやすく、上げやすくなったのは事実があると思います。
マネジメント職に加え、専門性を評価するキャリアパスを整備し、専門職として成長できる環境を構築。評価制度の見直しにより、個々の専門性や実績が正当に評価される環境が整っています。
各種社内データ
——ありがとうございます。続きまして、部門によって多少の差はあるかと思いますが、御社全体としての平均年齢、男女比、平均勤続年数、月間の平均残業時間、年収水準、離職率などについて、お差し支えない範囲でお聞かせいただけますでしょうか。
はい。こちらについては社内データを基にお伝えいたします。
まず、平均年齢は41.5歳で、こちらは正社員のみを対象とした数値となります。
男女比は、男性が約7割、女性が約3割(7:3)です。
平均勤続年数は14.7年となっており、比較的長く勤務されている社員が多い点が特徴です。
月間の平均残業時間については、部門によって多少の差はありますが、全体平均では約20時間程度となっています。
平均年収は、役員・契約社員・中途入社直後の社員を除いた正社員を対象に算出しており、残業代を含めて約530万円です。
また、離職率につきましては、昨年12月から今年11月までの1年間(インタビューは2025年12月実施)で5.9%という結果となっております。
——離職率5.9%という数値は高いと感じられますか?
正直なところ、直近では離職率はやや落ち着いてきている印象があります。
特に、コロナ禍を経て各社が一斉に採用を再開した時期は、離職が比較的多かった印象があります。そのタイミングでは、新卒や若手社員の方々が、それまで限られていた選択肢から一気に幅を広げて転職活動を行えるようになったこともあり、結果として退職が増えた側面があったのではないかと思います。
一方で、ここ1〜2年に限って見ると、そうした動きは落ち着き、離職はやや減少傾向にあると感じています。
——離職率二桁という企業もありますが、どう感じられますか?
過去には、離職率が二桁に達していた時期もあったと思います。数年前と比べると、そこからはだいぶ落ち着いてきた印象があります。
特にここ2年ほどで入社した新卒社員については、離職がほとんど発生していない状況です。以前は「入社3年で3割が辞める」と言われるような状態でしたが、最近はその傾向が大きく変わってきています。
もちろん、「1〜2年では辞めないものの、4年ほど経過したタイミングで転職を考える人が出てくるのではないか」という見方もありますので、今後については引き続き注視が必要だと考えています。ただ、少なくとも直近2〜3年に関しては、離職率は低下傾向にあると感じています。
各種データから、安定して働き続けられる環境が整っていることが分かります。離職率も近年は落ち着いており、定着率の改善が進んでいます。
福利厚生と働き方、共働き、多様化
——ありがとうございます。
それでは次に、これから新たに仲間となる皆さまへ向けて、御社ならではの特徴的な福利厚生や制度がございましたら、ぜひお聞かせいただけますでしょうか。
正直なところ、いわゆる「特徴的な福利厚生」は多くはありません。
法令に基づく制度については、しっかりと整備・運用しており、いわゆる一般的な水準は満たしていると考えています。
一方で、福利厚生という位置づけではありませんが、コロナ禍をきっかけにテレワーク制度を導入しました。
新卒入社から一定期間(原則として3年目以降)を経て、業務を自立して回せるようになった社員については、本人の申告や家庭事情(育児・介護等)を考慮しながら、テレワークを活用しているケースもあります。
実際には、営業職や事務職など、業務内容や部門によって実施可能な範囲は限られますが、週の半分程度をテレワークで勤務している社員もおります。
ただし、テレワークは「福利厚生」や「権利」として位置づけているものではなく、あくまで業務上の指示・運用の一環として取り扱っています。
給与や評価に影響するものではありませんが、自己管理ができること、業務の質を維持できることが前提となります。また、所属部署の状況や周囲とのバランスも考慮しながら判断しています。
——なるほど、ありがとうございます。昭和の時代と比べて、ご存知の通り、この令和は圧倒的に共働きが当たり前になってきたと感じています。仮にお子様が生まれた際に、女性が割と育児などの理由で育休に入るというケースが、どうしても男性に比べて多いと感じます。一方でその対象となる女性が管理職として登用されていた。ここに対してのサポート、手当、フォローなど、組織的にこれってこうしなきゃいけないよねというのは、ここ 5年、10年で割と人事としても意識しなければいけなくなってきてますか?
元々、弊社は以前から産休・育休もキチンと付与していましたし、復職後も希望して時短勤務したいという場合は、それに対応してきましたので、特にそこに対して、今回の制度改定と何か関連性があるか?と問われると、以前から整っていたので、そこはあまり変化はないと思います。女性に限らず、男性社員も同様で、昔から会社全体で理解はあるように感じています。
福利厚生は一般的な水準を着実に整備しつつ、テレワークなど柔軟な働き方にも対応。育児・介護への理解も浸透しており、状況に応じた働き方を支える環境が整っています。
これからご入社される皆様へ向けて
——それでは最後の質問とさせていただければと思います。
御社のビジョンや経営理念を踏まえたうえで、今後どのような中途人材に仲間として加わってほしいとお考えでしょうか。
これから応募を検討される方々へ向けて、ぜひメッセージをお聞かせください。
そうですね。創業以来、一貫して変わらない考えではありますが、私たちが求めているのは、さまざまなことに興味を持ち、自ら仕事に向き合ってくれる方です。
日々の業務に対して関心を持ち、主体的に取り組む姿勢のある方は、やはり成長のスピードが早いと感じています。実際に、周囲を見ていても、自分から調べたり、「この仕事をやってみたい」と前向きに手を挙げられる方は、着実に評価され、その経験がご自身の実績として積み重なっていきます。
そうした方が異動希望を出された際にも、「これまでに培った経験を次のフィールドでも活かせるだろう」と前向きに捉えられることが多く、新たなキャリアに挑戦する機会にもつながっています。
仕事に対して興味を持ち、前向きに取り組み、自ら成長しようとする姿勢を大切にできる方と、ぜひ仲間として一緒に働いていきたいと考えています。

INTERVIEWER

袰主 | ヒューマンキャピタル事業部 人材紹介事業
国際物流という高い専門性が求められる分野において、長年にわたり堅実な事業運営を続けながら、人材育成や組織づくりに真摯に取り組んできた企業であると感じた。現場理解を重視した育成方針や、個々人の適性・志向を尊重した配属・キャリア形成は、国際物流業界で着実に力を身につけていきたい方にとって、大きな安心感につながるだろう。特に、マネジメント職だけでなく「専門課長」「専門部長」といった専門職のキャリアパスを制度として整備し、通関や業務オペレーションなどの高度な専門性を正当に評価している点は印象的である。平均勤続年数の長さや離職率の低下が示す通り、落ち着いた環境で腰を据えて働ける一方、主体的に学び挑戦する人には確かな成長機会が用意されており、専門性と安定の両立を目指す方にぜひ検討いただきたい企業である。



